アインシュタインと相対性理論の世界

1章 特殊相対性理論の生まれた時代

19世紀までの科学

相対性理論は、それ以前の物理学を大きく革新する理論です。
革新すると同時に、私たちの日常感覚では受け入れにくい現象を語っています。



相対性理論がいかに革新的であるかを理解するために、まず、相対性理論が生まれた時代の科学を見てみましょう。



ニュートンが確立した力学は偉大なものでした。
地上の物体の動きだけでなく、惑星の運動までも運動の法則や万有引力の法則で解説できるのです。

ニュートンは、物体や天体運動を説明するために、絶対時間、絶対空間という考えを示しました。
時間は、この世界のどこでも同じように過ぎていく。運動の入れ物になっている3次元空間も運動とは独立しているので、運動と空間が相互に影響しあうことはないと考えられていたのです。



物体が今、垂直に落下したとします。
地球は自転しているので、本当に垂直な落下と言えるのでしょうか?
さらに、地球は太陽の周囲を公転し、その太陽も銀河系内を回っています。
銀河系も止まっているわけではありません。おとめ座銀河団の方向へ移動しつつあります。



こう考えると、垂直な落下と言っても様々な運動の組み合わせであることが分かります。
ところが、実際に垂直に落下する運動を計算しようとするときに、地球の自転や銀河の動きを考慮する必要はありません。
自分から見てどのように見えるかだけで運動を考えることができるのです。
これを相対的な運動といいます。



また、相対的な運動であれば、物理の法則はそれぞれ同じように成立することを相対性原理といいます。
相対性原理がガイレオが考えました。アインシュタインから300年さかのぼった時代のことです。

スポンサードリンク