アインシュタインと相対性理論の世界

2章 特殊相対性理論とは何か

日常の生活感覚は通用しない世界-----時間のスピードは人によって違っていた!

時間の謎

誰にとっても一日は24時間。
すべての人にとって時間は公平に過ぎていくように見えます。



ところが光に近いスピードで飛ぶロケットの中では時間はゆっくり経過します。
その結果、ロケットで10年間宇宙を旅してきた人が帰ってくると、地球では15年が過ぎていた ということが起こります。



時間が進む速さは誰にとっても同じではないのです。
相対性理論では光のスピードが重要な役割を果たします。



誰から見ても光の速度が変わらないと、日常の常識が狂ってくます。
例えば時間。
時間は誰にとっても均等に経過しているように見えますが、そうではないことが関係あります。



光の速度が一定だと、なぜ時間の過ぎ方が一定でないのでしょうか?



ここで鏡と電球を使った装置で実験してみましょう。
この実験装置では電球と鏡が向かい合っていて、電球から光が放たれ、鏡に反射して戻ってくると時間が表示されます。



ちょうど「1秒」と表示するためには、鏡を15万キロ離す必要があります。
光は一秒間に30万キロのスピードなので、15万キロ先で反射させればちょうど1秒になります。
操作係がスイッチを入れると、電球が一瞬だけ光ります。
この光は15万キロ先の鏡に向かい反射して電球まで戻ってきます。
これが一秒です。



この実験装置を高速で飛ぶロケットに載せてみましょう。
操作係がスイッチを入れると、光は15万キロ先で反射して戻ってくるので1秒と表示されます。
これは、ロケットで乗せていてもいなくても変わりません。



では、ロケットに乗った実験装置を地上にいるギャラリーからはどう見えるのでしょうか?
光が実験装置の中を移動している間に、実験装置そのものがロケットに乗って移動します。
このため、ギャラリーから見ると、実験開始から光が一往復するまでの間に実験装置は動いてしまっているのです。
電球と鏡の間は15万キロですが、ロケットの移動が加算されるので光は15万キロ以上の距離を移動して鏡に到達します。
反射した光も15万キロ以上を移動して電球に戻ります。
つまり、ギャラリーは光が30万キロ以上を移動するのを目撃するのです。



さて、光のスピードは誰からみても一定です。地上で実験を見ているギャラリーにとっても光速は秒速30万キロなのです。
秒速30万キロで30万キロの距離を移動すれば、それは1秒です。
秒速30万キロで30万キロ以上の距離を移動すれば、それは1秒よりもっと時間がかかります。



実験係から見ると、光は一秒で往復します。その様子を見たギャラリーからは1秒以上の時間がかかって往復して「1秒」と表示されるのが見えるのです。
1秒間の動作を1秒以上の時間に引き延ばすのですから、ギャラリーは実験装置の動作や実験係の動きがスローモーションのように見えるのです。



では、地上にある実験装置を光速で飛ぶロケットから見たらどうなるでしょうか?
反対に速く見えるのでしょうか?



走っている電車からホームを見ると、電車が止まっていてホームが動いているように見えます。
同じように、ロケットから見ると地上にある実験装置は動いて見えます。
実験の様子を地上で見ていると、光は一秒で往復します。



ところが、ロケットから個の様子を見ると光の移動距離が伸びて見えます。
電球と鏡の間は15万キロですが、地上の実験装置が移動して見える分が加算されるので光は15万キロ以上の距離を移動して鏡に到達し、15万キロ以上を移動して電球に戻ります。
つまり、ロケットからは光が30万キロ以上を移動するのを目撃するのです。



これは地上からロケットを見ても、ロケットから地上を見ても、相手がスローモーションに見えることを意味します。



ここから出てくる結論は、誰にとっても共通な時間はないということです。

四次元の時空

時間の流れと空間の広がりは、お互いに無関係だと考えられていました。
むしろ、時間の流れと空間の広がりを結び付けて考えようという発想はまずなかったのです。



アインシュタインは、時間と空間がお互いに影響しあっていることを突き止めました。
時間と空間は元々一つのものであり、それを時空と呼びました。



時空は縦、横、高さの三つの方向の広がり(3次元)と、一つだけの時の経過(1次元)を持っています。
これらをまとめて4次元時空と呼びます。



私たちは時空の中にいます。
時空の中で広がりを空間とよび、時の流れを時間と呼んでいるのです。

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