アインシュタインと相対性理論の世界

1章 特殊相対性理論の生まれた時代

光の探求から生まれた特殊相対性理論

電磁波って何?

「電磁波が出ている」「電磁波は危険」など、電磁波という言葉をよく耳にします。
電磁波とは何でしょうか?



アインシュタインの不思議な世界を体験する前に、この電磁波について調べてみましょう。



電磁波という言葉から、「目には見えないが空間を伝わっていく」というイメージを受けます。
例えば身近な電磁波に電波があります。
音声を乗せた電波が空間を伝わっていくので、ラジオや携帯電話は遠隔地であっても相手の声や音楽を聴くことができます。



空港の手荷物検査や、医療で使用されるエックス線も電磁波の仲間です。エックス線には物体を透過するという性質があります。
日焼けの原因となる紫外線や、体をホカホカと温める赤外線も目に見えませんが電磁波の仲間です。

ここに登場した、電波やエックス線、紫外線、赤外線はすべて電磁波ですが、みんな異なった特徴を持っています。
電波で人体内部は撮影できないし、携帯電話の通話に紫外線は利用できません。
エックス線では日焼けできないどころか、大量に浴びたら生命が危険にさらされます。
同じ電磁波なのに、なぜか性質が違うのです。



長いロープを振動させて波を作ってみましょう。
振り方によって長い波や短い波ができます。
波の頂上から隣の頂上までの長さを波長といいます。



電磁波も波ですが、波長の長い電磁波もあれば短い電磁波もあります。
電波の波長は長く100メートル以上もありますが、エックス線の波長は0.1ナノメートルしかありません。赤外線は0.1ミリ以下の波長です。



電波、エックス線、紫外線、赤外線は、波長の違う電磁波なのです。
電磁波は、波長ごとに違う名前で呼ばれていると考えてもいいでしょう。
波長の違いが電磁波の性質を決めているのです。



電磁波は目に見えないと思われがちですが、波長が0.4マイクロメートルから0.7マイクロメートルの間の電磁波は目に見えます。
私たちはこれを光と呼んでいます。



光も電波もエックス線も、ただ波長が違うだけで、もともとは同じ電磁波だったのです。



アインシュタインは、光について考えることから相対性理論に到達しました。
私たちも光の正体を探るところから始めましょう。

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