アインシュタインと相対性理論の世界

2章 特殊相対性理論とは何か

相対性原理とは

アインシュタインは実験や観察によって相対性理論を発見したのではありません。
深い思索によって理論を構築し相対性理論を完成させました。



だからと言って、相対性理論は机上論ではありません。
多くの研究者による実験や観察によって正しいことが確認されています。
一方、反証は見つかっていません。



アインシュタインの思索はアーアウの高校に通学していたころにさかのぼります。
もし、光と同じ速度で光を追いかけたら、その光は止まって見えるのだろうか------



アインシュタインは経て、ようやく特殊相対性理論に到達したのです。



思索の上で、紆余曲折はあったものの、相対性理論は、相対性原理と光速度一定の原理から導くことができました、特殊相対性理論の根拠となった二つの原理--------相対性原理と光速度一定の原理------について説明しましょう。




ガリレイに遡る絶対性の否定

相対性原理を考えた人物はガリレオです。 止まっていても、同じ速度で動いていても、同じ力学の法則が通用すると考えました。



止まっている船のマストのてっぺんから物体を落下させたとします。
この物体は垂直に落ちていき、マストの根元に落下します。



このとき、船が動いていたらどうなるでしょうか?
船が一定の速度で進んでいれば、止まっている船の場合と同じようにマストの根元に落下します。



船がもっと速く動いていても、一定の速度を保っているなら、やはりマストの根元に落下します。



これは、たとえ船動いていても、それが一定の速度であるかぎり 止まっているときと同じ力学の法則が成立することを意味します。
これがガリレイの相対性原理



同じ力学の法則が通用する範囲を慣性系といいます。
この例の場合、停泊している船や、一定の速度を保ったまま航行している船は慣性系です。



船が、急停止する場合、カーブする場合は余計な力を感じます。
この場合、物体はマストの根元に落下しません。
つまり、同じ力学の法則が通用しないのです。



したがって、急停止する場合やカーブする場合は慣性系ではありません。



ガリレオの相対性原理は、すべての慣性系で同じ力学法則が成立すると言い換えることができます。



これに対し、アインシュタインの相対性原理があります。(相対性理論ではありません)

ガリレオの相対性原理すべての慣性系で同じ力学の法則が成立する
アインシュタインの相対性原理すべての慣性系で同じ物理学の法則が成立する

ガリレオは力学だけを相手にして相対性原理を構築しましたが、アインシュタインは力学だけでなく物理の法則全体まで相対性原理に取り込みました。



光速度は、観察者の運動によらず常に一定です。
これはすべての慣性系で光速度が一定であることを示しています。



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