3章 一般相対性理論の誕生
加速度と重力
人生最高のアイデア「等価原理」
上昇するエレベータにのると、加速するときに強く引かれる感覚を得ます。
まるで重力が少し増えたようです。
実際にエレベータの中に体重計を置き、これに乗った状態で加速すれば、体重計の針は実際の体重よりも大きな値を示します。
ここに人が入れるサイズの箱があります。
箱の左壁に板バネを垂直に立てると、この板バネはしなります。
引力があるからです。
宇宙空間は無重力です。
この箱を宇宙空間へ持っていけば、板バネはまっすぐになります。引力がないからです。
宇宙空間でこの箱をエレベータのように引っ張り上げたらどうなるでしょうか?
無重力の宇宙空間でありながら、引力を作ることができるのです。
箱を1秒あたり、秒速9.8メートルずつスピードアップすると、地球上と同じ引力になります。
その結果、バネがしなります。
この箱に窓がなければ、乗っている人は地球なのか、宇宙空間なのか区別はつきません。
ここから引力と加速による見かけの引力は区別がつかないことが分かります。
これを等価原理といいます。
アインシュタインは等価原理に気付いたことを、後に「人生でもっともすばらしいアイデア」だったと語りました。
引力で光が曲がる
このエレベータの左の壁に小さな光源が取り付けられています。この光源を発光させたらどうなるでしょうか?
光は直進し、右の壁に当たります。
このとき、光が右の壁に当たるまでのわずかな時間の間にもエレベータは上昇しています。
このため、光は光源の真横には当たらず、少し下に当たります。
エレベータの中の人には、光がカーブしたように見えるでしょう。
加速によって見かけの力が作用しているとき、光がカーブします。
等価原理によって、見かけの力と引力が区別できないなら、引力の影響を受けても光はカーブするはずです。
ここで一つ疑問がわきます。
加速せず一定の速度で上昇しても、光は曲がるのではないかなと。
いいえ、この場合、光は曲がらず直線になります。
空間の曲がりと重力
物体があると、その質量で空間が曲がります。
この曲がりにそって物体が動こうとする作用が引力です。
光もこの曲がりにそって進むので、光そのものが曲がってしまうのです。
空間が曲がるということを、トランポリンを使って例えてみましょう
トランポリンの上にボーリングの玉を置きます。
するとトランポリンは玉の重みで沈みます。
この近くにゴルフボールを置くと、トランポリンの表面が曲がっているので、ボーリングの玉に向かって移動します。
まるでボーリングの玉がゴルフボールを寄せ付けたように見えます。
地球はあまりにも巨大であるため、周囲の空間を大きく曲げてしまいます、物体がこの曲がりにそって移動します。地面に向かってものが落ちるのはこのためです。
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