アインシュタインと相対性理論の世界

3章 一般相対性理論の誕生

皆既日食が示したアインシュタインの正しさ

重たい物体が光を曲げるなら、星の近くを通る光は曲がるはずです。



1916年に一般相対性理論が発表されたとき、どうやってその正しさを確かめるのかが問題になりました。
光の曲がりを検出できれば、一般相対性理論の正しさは一発で証明できます。



しかし、実際に光が曲がる様子を確かめることは可能なのでしょうか?



太陽の背後にも恒星があります。
太陽は重いので、背後の星から来る光は曲がって見えるはずです。
ところが太陽は明るいので見えるはずがありません。



太陽の近くの星が見えるチャンスが1919年にめぐってきました。
皆既日食です。
皆既日食は月によって太陽が隠される現象で昼間でも暗くなります。



このとき、太陽の縁近くにある恒星の位置を確かめるのです。



イギリスの物理学者エディントンによる観測によって確かめられました。
二つの観測隊が南太平洋のプリンシペ島とブラジル東岸のシブラルに向かいました。
悪天候で観測を阻まれるリスクを減らすためです。



太陽が完全にかくされる皆既は数分しか続きません。
この間に確実に写真を撮るため、入念なリハーサルが繰り返されました。



観測隊が持ち帰ったフィルムは早速調べられ、星の位置が確認されました。

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計算による予測1.75秒
プリンシペ隊の観測結果1.61秒
シブラル隊の観測結果1.98秒

「秒」は角度の単位。1秒は3600分の1度
出典:アインシュタイン丸かじり

予測と観測結果のわずかな差は、誤差の範囲です。
この結果によって、一般相対性理論の正しさが確認されました。

この観測結果はイギリスの新聞タイムの一面で扱われ、アインシュタインは一般に広く知られるようになりました。

このとき、サイエンティフィックアメリカン誌が、一般相対性理論を最も分かりやすく説明した人に賞金を贈るというイベントを行いました。

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