アインシュタインと相対性理論の世界

3章 一般相対性理論の誕生

バルカンの正体

水星の近日点が少しずつ移動していることが分かっていました。
そのため、水星の内側を公転する未知の惑星が、水星の運動に影響を与えているという仮説が信じられていました。



多くの学者、研究者が水星の内側を回る新惑星発見を目指しました。
未発見にも関わらず、バルカンという名前まで付きました。



現在、水星の軌道の問題は一般相対性理論で説明が付いています。
バルカンなど仮定する必要はありません。



しかし、当時の人たちは相対性理論など知りませんから、バルカン探しに明け暮れました。
「バルカン発見」の観測報告も繰り返し発表されましたが、すべて誤りでした。
実在しないのだから、当然ですね。



太陽の巨大な重力によって太陽の周囲の空間が曲がります。
水星は曲がった空間の中を進むうちに、近日点が移動してしまうのです。



ところで、バルカン発見レースに参入した人々は、なぜ実在しないバルカンを発見したと報告したのでしょうか?
なぜ誤報が繰り返されたのでしょうか?
人は、信じたものを目撃するのでしょう。

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