アインシュタインと相対性理論の世界

3章 一般相対性理論の誕生

重い星は光を曲げる----重力レンズの不思議

遠方の銀河や恒星の光が、手前の天体の重力によって曲がって見える現象を重力レンズといいます。



手前の天体の重力が大きければ、レンズの効果は顕著になり、重力が小さければ効果は目立ちません。
レンズの効果の度合いによって、重力レンズは三種類に分類されます。

強い重力レンズ手前の天体の重力が強い場合、遠方の天体の像が複数に分かれて見えます。
弱い重力レンズ手前の天体の重力が弱い場合、遠方の天体の像が変形して見えます。
マイクロレンズ手前の天体の重力が極度に弱い場合、遠方の天体の像がは変形せず、明るさが変化して見えます。

複数の像が連なりリング状に見えるものをアインシュタインリングといいます。

出典:国立天文台 http://hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/TokuteiDE/purpose/

銀河団を重力レンズで観測することによって、銀河の質量を見積もることができます。
ところが、銀河が放出するエックス線の量から計算された銀河の質量は少ないことがわかりました。
このことから、銀河間の宇宙には、目には見えないけれど重力を持った物質「ダークマター」が存在することが分かってきたのです。



重力レンズは、本来観測者に来ないはずに光を集めます。
この影響で光源は実際よりも明るくなるので遠方の天体を観測することができるのです。
アインシュタイン自信は、重力レンズを理論上の可能性と考えていて実際には見つからないだろうと考えていました。



重力レンズは1979年3月に初めて発見されました。
この年はアインシュタインの生誕100年に当たっています。

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