アインシュタインと相対性理論の世界

4章 相対性理論以外の業績

光電効果

電子をたたき出す光

光が金属に当たると電子が飛び出します。
この現象を光電効果といい、1887年にヘルツが発見しました。



光電効果は、光の量を電気で測るときに役立ちます。
カメラの露出計やCCDに利用されています。


この光電効果は不思議です。
光を強くすると、飛び出す電子の勢いは変わりませんが数は増えます。
ところが、光の波長を短くすると飛び出す電子の勢いはパワーアップします。
反対に光の波長を長くすると電子の勢いは衰えます。光の波長がある長さより長くなると、もう電子は飛び出しません。
電子の飛び出す勢いは、光の波長に依存するのに、光の強さには無関係なのです。


光が波であることは、すでにヤングによって発見されました。
しかし、光が波であれば、このような光電効果の特徴は説明できないのです。




光は本当に波なのか?

ここで、またまたアインシュタイン登場です。



アインシュタンはこう考えました。
「光は波であるが、同時に粒でもある」



光が波であるのか、粒であるのかは、長い論争の歴史があります。結局、ヤングによって光は波であるということで一応の決着を得たはずです。

アインシュタインは、この結論をひっくり返したのです。
光は「波であるのか、粒であるのか」ではなく「波でもあり、同時に粒でもある」としたのです。



光が粒子であれば、電子に衝突し、その勢いで電子を金属の外へ叩き出します。
10個の光の粒子が電子に当たれば、10個の電子が弾き飛ばされるというわけです。



たくさんの光の粒子が金属に当たれば、そのぶん飛び出す電子の数は増えます。
しかし、飛び出す電子の勢いが増えるわけではありません。

そこで、波長の短い光ほどエネルギーが大きいので、電子をより勢いよく弾き飛ばすと考えたのです。
まとめるとこうなります。

現象説明
光が当たると電子が飛び出す光の粒子がぶつかって電子を弾き飛ばす。

光を強くすると飛び出す電子が増える 光の粒子の数が増えるので、弾き飛ばされる電子の数が増える



光の波長を短くすると飛び出す電子の勢いがパワーアップ 光の粒子のエネルギーが高いので、弾き飛ばされる電子の勢いが増す



波長が長くなると電子が飛び出さなくなる 光の粒子のエネルギーが低いので、ぶつかっても電子が動かない



光は波なので、波長があります。
波長λの光は、h c/λのエネルギーを持つ粒子だと考えました。

ここでhはプランク定数といいます。

アインシュタインは光電効果の理論的研究によってノーベル物理学賞を受賞しました。
1921年のことです。
アインシュタインは相対性理論でノーベル賞を取ったのではないのです。

光電効果の用途は?

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