5章 アインシュタインの生涯
長女リーゼルの謎
アインシュタインの最初の妻はミレーバです。
ミレーバは1875年にセルビアの裕福な家庭に生まれました。
やがてチューリッヒ連邦工科大学に進学し、ここでアインシュタインと出会います。
二人の結婚には、アインシュタインの両親も、ミレーバの両親も反対しました。
アインシュタインは就職先がなく不安定でしたし、アインシュタインの両親もミレーバがセルビア人であることに抵抗を持ったようです。
ミレーバとアインシュタイン(1912年撮影) Wikimedia Commons
結婚を反対されていた二人の間で事件が起こりました。
ミレーバが妊娠したのです。
ミレーバは故郷に帰り、1902年の1月末女児を出産します。
この子は二人に手紙の中でリーゼルと呼ばれましたが、ある時期を境に手紙の中でまったく話題にならなくなりました。
まるで、最初からなかったことのようにです。
今もって、リーゼルのその後は分かっていません。
良家であったミレーバの一家が、結婚前の出産を嫌い、教会に届け出なかったようです。
高熱の病気が流行したことから翌年に死亡した、またはリーゼルは里子に出されたという説があります。
アインシュタインは生涯、一度もリーゼルに会っていないというのが俗説ですが、実はそうではないかもしれません。
例えばNHKのアインシュタイン・ロマンには、幼いリーゼルを抱くアインシュタインの写真が掲載されています。
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